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沈黙(遠藤周作) [日本文学・本棚]


沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)

  • 作者: 遠藤 周作
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1981/10
  • メディア: 文庫



日本人作家の中で、私のお気に入りベストテンに入るのが遠藤周作、その中で最も印象に残っている著作の一つが、この「沈黙」。高校時代にこの本を買おうとしたら1500円、当時の私には高い金額なので躊躇していたら、友人から読書感想文を代筆するアルバイトが舞い込んできます。そこで私は、遠藤周作の「沈黙」1冊で引き受けました(友人は、こんなに高い本だとは思っていなかったようで、ちょっと嫌味を言われました^^)。その上、私が書いた読書感想文が迂闊にも入賞してしまい、彼はずいぶん困ったようです。

キリスト教徒でなくとも、高校生の私に対してさまざまな問題提起をしてくれる本でした。その理由の一つは、遠藤周作はキリスト教徒でありながらキリスト教から一歩離れた視点で作品を作り上げているからかもしれません。主人公は、宗教と愛(自己犠牲)の一見矛盾していないこの2つの狭間で葛藤にもがき苦しみながら、最終的に「転ぶ(キリスト教を捨て改宗する)」ことを選択し、過酷な拷問を受けている隠れキリシタンたちを救います。主人公の神への疑問を抱くシーン、奉行が歪曲されて日本に根付いていくキリスト教について説明するシーンの精神的残酷さ、など読み手を真剣にさせる本です。
nice!(6)  コメント(2) 

nice! 6

コメント 2

yutakami

入賞とはさすがKrauseさん!
そのお友達もさぞや居心地が悪かったでしょうね・・・。
by yutakami (2009-10-21 13:58) 

Krause

すいません、先刻この本の価格(当時)をチェックしたら、1300円でした。
by Krause (2009-10-23 02:54)