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白い風船(遠藤周作) [日本文学・本棚]

北海道図書館リファレンス通信No.33

遠藤周作ファンになるきっかけとなった本です。小学生(高学年)の頃に、国語の教科書に掲載されていたものを読みました。主人公の凡太は、小学生の男子で、「周囲にあるエキサイティングで不思議なできごとなどが、自分が成長するに従って、実は錯覚や思い違いだったことを知っていく」という単純なストーリーです。当時小学生だった私には、大人になることへの期待とともににある寂しさのようなものを複雑に感じさせられた作品です。最後のシーンで、白い風船が夕暮れ時に漂って消えていくのですが、ここで遠藤周作は、人は大人になることによって、「見えてくるもの」と「見えなくなってしまうもの」の両方があるのだということを示唆しているのでしょう。

残念ながらこの作品は、私の知り限り教科書以外の「本」としては当時も現在も出版されていません(講談社刊の「哀歌」1976年発行に収録されているようですが、未確認です)。そこで、いろいろ調べたところ、昭和44年の元旦の朝日新聞に掲載されていたものであることを知り、朝日新聞の縮小版を入手しました。現在もその縮小版は、私の手元にあります。

Krause
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コメント 1

e-g-g

遠藤周作の作品はずいぶんと読んだつもりでしたが、
この『白い風船』は存在すら知りませんでした。
やはり、ちょっと気になります。
by e-g-g (2011-03-31 15:30)