秋田明大日大議長、「異常の日常化の中で・獄中記」、小田実「なんでもみてやろう」 [評論・思想・哲学・本棚]
私が学生の頃には、もう過激な学生運動も下火になり、ほとんどのキャンパスは平和なものでした。このころは、若いエネルギーの行き場を求めて、海外を目指す人が多かったです。格安航空券も出始めていたのも、理由の一つかも知れません。ちょうど、「地球の歩き方」も、その頃に発刊されました。私も、学生生活の中で明確な目標・将来を見つけられず鬱屈した日を過ごした後、大学を休学し、小汚い格好で海外へ脱出します。これは、私にとってちょっぴりだけ将来の糧になったのではないか、と今でも思っています。多くの国では、私のような貧乏外国人学生に対してとても親切でした。私が、韓国を大好きなのも、このような経験があることが理由の一つです。
それでも、ヘルメットをかぶりゲバ棒を振りかざしていた私よりも上の世代の先輩たちに対して、何かしらの興味と羨望の気持ちがありました(思想的には、当時も今もまったく相容れませんが)。学生時代には、彼らがその後どんな足跡を残して行ったのかに着目しました。私が有機農法に興味を持ったのもその頃です。その後、バブル景気の到来とともに社会も少しずつ変化していき、「朝日ジャーナル」も廃刊になります。実は、秋田明大のこの本のあとがきをしているのは、私の叔父です。彼からは、その頃のいろいろな話を聞きました。勉学をするにはナゾですが、学生生活を過ごすには割合良き時代だったのかもしれない、と思っています。
数年前に亡くなった小田実の「なんでもみてやろう」という本も、その頃にはもう古い本だったのですが、学生だった私たちの間で話題になっていました。
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